よりよい未来を選ぶ不動産ラボ

ルールのこと

農地転用についてPART2

農地転用についてPART2

>>このページでは、

「PART1でノーテンとノーシンがあることは分かったけど…

さらに出てきた青地と白地ってなに?」という疑問を解決します。

※この記事を読んだあなたは、農地転用に関するLevel8▶︎9(10段階)をマスターできます。(お急ぎの方は、上から1スクロール分と最下部から2スクロール分くらいを読むだけでも役立つと思います。)

青地と白地? この差ってなんなの?

 農業を振興していく地域(ノーシン)をさらに細かく仕分けたのが次の2つです。農業振興地域の中には、

 ①日本の農業を守っていく上で「この優良条件を備えている土地は、今後も農業をしていくべき(農用地)だ!」とされる土地(=青地)と、

 ②ノーシン地域の中だけど農地は点々としてるし、土地の改良事業をした訳でもないし、周りがすでに市街化してるから、この辺だったら宅地や他の利用に使っても良いかもしれないなぁ~と判断された土地(=白地)があります。

 これが、①青地と②白地の差です。同じノーシンでも、②白地の方がだいぶゆるそうですよね。説明としてはくだけ過ぎかもしれませんが、実際に白地の方が農転の制限は緩和されています。ここが重要なのですが、あくまで緩和されているというだけで、

白地だからと言って、確実に農地転用ができるとは限りません。

 「農振除外(ノーシンジョガイ)」の申請が通って許可が下りたとしても、そこから次の「農地転用(ノーテン)」を申請して、農転の許可が下りた時に初めて「くれぐれも、申請内容の通りに使ってくださいね。」という条件付きのOKを頂けるのです。中山間地域にある畑からそれ以外の用途に変えるというのは、それだけの理由があるから、認可制という手段をとっているのですね。

これが、私たちの生活基盤を守るための知恵であり、国が定めたルール(農地法)です。

 ・・・ここから先(実際の手続き)は、現地の状況を正確に把握して、行政機関に足を運んで確認を取ったり、申請手続きに必要な資料を揃えたりとややこしい作業が多いので “ 農振除外や農転の手続きに慣れている不動産屋 ” さんに、まるっとお願いした方が(気持ち的にも、作業的にも)楽です。 

 さて。

 ここまでのザクザク〜っとしたご説明で、なんとなくでも良いので「中山間地域の農地って、簡単に家を建てられるわけじゃないんだな~」というのが伝わりましたでしょうか?

 新人の不動産営業よりも「農転」に詳しくなったところで、

 ひとつ、大事なことをお伝えします。

 私たちが生活している南アルプス市は「自然と社会の共存」に積極的に力を入れている地域で、市全体がユネスコエコパークに登録されているのですが、ユネスコエコパークとは『豊かな生態系を有し、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域』のことです。そんな、自然豊かで中山間地域も多めの南アルプス市なので・・・

 南アルプス市は「都市計画法で定められた13の用途地域 (売地の資料にも載っている項目です。大きく分けると住居系、商業系、工業系に分けて指定されている地域) と森っぽいところ」以外 は、

すべて  “ 農業振興地域(ノーシン)に 該当”  しています。

 …「森っぽいところ」は、ざっくりしすぎですね。正確には、用途地域と「南アルプス国立公園の特別保護地区および規模の大きい森林で林業または国土保全に利用する区域」です。また、用途地域は約5年に一度見直されているので、場所によっては用途地域が変わることもあります。

 ということは、いくら土地の所有者様が「売ってもいいよ。」と言って下さったとしても、農振除外および農転の許可と開発許可が下りない限り、そこに家は建てられないのです。特に、新規分譲地を開発するときには南アルプス市独自のルールも設けられているので、それらの条件を全てクリアして、しかるべき機関から許可を得て、初めて「家を建てられる状態」の土地になるのです。

(農地法に違反すると懲役3年以下もしくは300万以下の罰金が科せられる可能性があり、取引によっては権利移転が無効になったり、原状回復・工事停止命令が下されます。 → 家を建てたのに、更地に戻せという命令を受ける罰則もあり得るということです。

 ちなみに、“2040年問題”として、特に過疎化が著しいと予測されている中山間地域ですが、今の 日本の農地 の 約4割 はこの中山間地域にあります。中山間地域が衰退し、農業を営む方々の高齢化とともに担い手が減ってしまえば、私たちの食卓に 国産の新鮮な作物 が並ぶことも少なくなってしまうのです。国土交通省では、この10年後には現在人が住んでいる地域の6割以上で人口が半数以下になり、2割が無住化地域(つまり可住地域ではなくなる)と推計しています。きっと「ご近所さんから野菜を作っている」ことさえも、『とても贅沢なこと』になってしまう未来予測です・・・。

 土地を見ただけでは「ただの畑」「ただの空き地」

 かもしれませんが、目には見えないところで農振・青地・白地・農転・・・と

ルールや条件に縛られている土地が多い 南プス だからこそ

(南プスに家を建てる、かもしれない。)と思っている方には、

『早めの段階』で、不動産会社に相談して頂くことを推奨しています。

 (もちろん、おすすめの不動産会社は株式会社NAKAZAWAです!)

 不動産の仲介を主な業務としている会社さんの場合は、もしかしたら「今ある物件が全てです」とおっしゃるかもしれません。しかし、(株)NAKAZAWAのように自社で土地の仕入れから分譲まで行う会社であれば、今後の仕入れ交渉をする場所=分譲予定地の検討材料になります。

「家を建てたいんです」「あの土地、空いてますよね」「もう畑はやってなさそうですし」

「持ち主さんに、買えないか聞いて欲しいんです」「・・・そういえば、家を建てるには“宅地”じゃないとダメだって聞いたんですけど」「とりあえず、よくわからないんですが」

「あの畑、宅地になりますか?」

 これが『農地転用(農転)』のお問い合わせです。

 こうしたご相談をいただけると、自社で分譲地を作る際の土地購入の参考になるだけでなく、ちょうど当社が農転の申請中の場所に近い!ということや、これから造成する分譲予定地と近い!ということが、これまでに何度もありました。土地に関しては「タイミング」も本当に大事なので、この記事に触れられたのも、何かのご縁かと思います。と、他の不動産屋さんからも言われているかもしれませんが・・・

(よし、思い立った今が、吉日だと思う!)

くらいのお気持ちで、どうぞ、お気軽にご相談下さいませ。

…というわけで。

「どうして農地転用なんて手続きをしないといけないの?

 勝手に使えばいいんじゃないの?」

に対するアンサーは、

①山梨県は、特に中山間地域(市街地と山頂の間)が多い

②中山間地域には農地が多く、その農地があるおかげで

 土砂崩れや災害の緩和・国産食料の供給などができている

そんな大切な役割を持つ農地をどんどん減らしてしまったら、

 自分たち(国民)の生活基盤が揺らぐことになる

→ だから、農地を勝手に減らさないよう、国が『農地法』を制定し、その土地を農地以外で使っていいかどうかを判断(申請・認可制に)している。

 というわけでした!

 長かったですね。ここまで読んでくださったあなたに感謝します。そんなあなたは・・・

\テッテレー/

(そうか、農地って大事だな~!)を理解した ▶︎Level9 に進化しました。

 むしろ、この記事を最後まで読んだあなたはレベル9どころか、本当に不動産会社のスタッフより詳しくなっているかもしれません。明日から自信を持って(こんな話を聞いてくれる相手がいればですが・・・)どーんと、ウンチクをかましてやりましょう。

 そして、当サイト内の 不動産ラボ で、さらなる Level アップ をして頂くことで、最終的に、あなたが「ここに決めて本当に良かった!と思える土地」を手に入れる日が来ることを願っています。

 追伸:農地転用について、最後の Level10 の段階は、『青地の売買について』です。今回の記事では散々 “ 家が建てられない農用地 ” と言ってきましたが、だからと言って売買できないわけではありません。農地として利用する目的で一定の条件を満たす方であれば、その土地を買うことができます。

 ここまできたら最後の1段まで登ってやる…!農地の売買を検討している…!というアツい方は、次の記事を読むと、Level9▶︎10までマスターできるので、ぜひ <農地の売買(青地)について> にお進みくださいませ。

前へ 次へ
不動産ラボ トップへ戻る